主要取扱業務
(相続−遺産分割)
長谷川行政書士事務所(相続関連:遺産分割)

 

相続関連−遺産分割
相続人の調査・確定
参照法令 民法 第886条から第891条及び第900条、第901条等
相続人の調査の必要性 親族が亡くなって、その遺産の相続を行おうとする場合、まず誰が相続人であるのかを特定する必要があります。相続人が誰か分からなければ、分割協議や相続財産の継承手続を行うことはできません。また、思い込みで相続人を定めて相続手続を進めたとしても、後で相続権を持った人が出てきて権利を主張した場合、それまで行った相続手続をすべてやり直すことになります。
相続手続に当たっては、まず亡くなった方(被相続人)の親族関係を完全に明らかにした上で、法律の規定にしたがって、相続人を確実に特定する必要があります。
相続人の調査の方法 相続人の調査は以下の手順で行います。
1:被相続人の出生から死亡までの一貫した戸籍謄本・除籍謄本を取得した後、
  被相続人の親族関係を図式化・一覧化する
2:1で作成した資料を基に、法律の規定にしたがって相続人を特定する
3:2で特定した相続人(直系尊属を除く)の中に死亡した人がいる場合、
  その相続人の出生から死亡までの一貫した戸籍謄本・除籍謄本を取得し、
  その相続人に子(代襲者)がある場合は、1と2で作成した資料に
  相続人として書き加える
4:法律の規定にしたがって、それぞれの相続人の法定相続分を計算し、
  1から3で作成した資料に書き加える
相続人の調査に必要な書類 被相続人の出生から死亡までの一貫した戸籍謄本・除籍謄本
死亡した相続人の出生から死亡までの一貫した戸籍謄本・除籍謄本
相続人の調査の注意事項 相続人を特定するには、先入観を持たず、取得した戸籍謄本・除籍謄本などを基に、まず被相続人の親族関係を完全に把握することが必要です。
どの親族が相続人になるかは、個々の親族構成により大きく異なります。親族が多い場合などは、専門家に相談・依頼することをお勧めします。
それぞれの相続人の法定相続分については、個々の親族構成や相続人の相続上の身分によって計算方法が大きく異なります。正確に法定相続分を算出するためにも、専門家に相談・依頼することをお勧めします。
後の遺産分割協議に備えて、相続人になる可能性の高い親族(被相続人の子等)で現住所が分からない人がいる場合、戸籍謄本の交付申請をする際に、同時に「附票」の交付を受けておくと、その相続人の住所が判明する可能性があります。
調査結果の書面化 相続人のみとその法定相続分を図式化・一覧化した資料を作成し、遺産分割協議の資料とします。
調査に必要な費用(名古屋市の場合) 戸籍謄本の交付:1通につき450円
除籍謄本の交付:1通につき750円
戸籍の附票の写しの交付:1通につき300円
関連事項 相続人の調査の結果、相続人が1人だけの場合、遺産の分割協議を行う必要はありません。
戸籍謄本や除籍謄本の交付を申請する市町村役場が遠くにある場合、郵送によってこれらの書類の交付を受けることができます。なお、申請の方法等については、交付を申請する市町村役場に、事前に確認しておくことが必要です。
相続人の調査に必要な戸籍謄本や除籍謄本が多量な場合、または遠くの市町村役場から多くの戸籍謄本や除籍謄本の交付を受けることが必要な場合、手続をする方には相当な時間的負担や手間が生じます。このような場合は、手続に精通した専門家に相談・依頼することをお勧めいたします。
相続人の確定のために取得した被相続人や相続人の戸籍謄本・除籍謄本等は、相続財産の継承手続(不動産の名義変更登記等)に必要な添付書類となります。
相続人となる人
1:被相続人の配偶者
2:直系卑属=子(胎児、養子を含む)、子が死亡している場合は孫
直系卑属がいない場合
3:被相続人の直系尊属=父母、父母が死亡している場合は祖父母
直系卑属・直系尊属がいない場合
4:被相続人の兄弟姉妹
法定相続分
1:配偶者と子が相続人の場合
  @配偶者=2分の1
  A子=2分の1(子が複数いる場合、それぞれの子の
   相続分は(2分の1)÷人数)
2:配偶者と直系尊属が相続人の場合
  @配偶者=3分の2
  A直系尊属=3分の1(直系尊属が複数いる場合、それぞれの直系尊属の
   相続分は(3分の1)÷人数)
3:配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合
  @配偶者4分の3
  A兄弟姉妹=4分の1(兄弟姉妹が複数いる場合、それぞれの兄弟姉妹の
   相続分は(4分の1)÷人数)
4:配偶者のみが相続人の場合
  ・配偶者=1分の1
5:子のみが相続人の場合
  ・子=1分の1(子が複数いる場合、それぞれの子の
   相続分は(1÷人数))
6:直系尊属のみが相続人の場合
  ・直系尊属=1分の1(直系尊属が複数いる場合、それぞれの直系尊属の
   相続分は(1÷人数))
7:兄弟姉妹のみが相続人の場合
  ・兄弟姉妹=1分の1(兄弟姉妹が複数いる場合、それぞれの兄弟姉妹の
   相続分は(1÷人数))
代襲相続人
次の1と2に該当する人は相続に関して、相続人と同じ権利があります。
1:被相続人の子が相続人になる場合で、子が死亡しているときの
  子の子(被相続人の孫)、子も孫も死亡しているときの孫の子(ひ孫)
  以下同じ
2:被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合で、兄弟姉妹が死亡しているときの
  兄弟姉妹の子(被相続人の甥姪)、甥姪が死亡しているときのその子
  以下同じ
相続人としての欠格事由
以下の行為を行った相続人は、その相続人としての資格を失います。
1:故意に被相続人・相続について優先順位の相続人・相続について
  同順位の相続人を殺害、または殺害しようとした場合
2:被相続人の殺害を知っていて、そのことを告発・告訴しなかった場合
3:詐欺・脅迫によって被相続人が遺言書を作成、撤回、取消、変更することを妨げた場合
4:詐欺・脅迫によって被相続人に遺言書を作成、撤回、取消、変更させた場合
5:被相続人の遺言書を偽造、変造、破棄、隠匿した場合
相続財産の調査・確定
参照法令 民法 第896条から899条等
相続財産の調査の必要性 遺産の分割協議を行うには、亡くなった方(被相続人)の財産の内容を把握することが不可欠です。そのためには、相続の対象となる個々の財産の種類や価額を漏れなく調査し、その結果を相続人全員に知らせる必要があります。
遺産の相続手続が終了した後に新たな財産が見つかった場合、再び遺産分割協議をしなければなりません。また、相続した資産の総額を越える負債が後で見つかった場合、遺産分割が終了していると相続の放棄や限定承認をすることができず、負債もすべて相続したことになります。このような事態を防ぐために、相続財産の調査は、被相続人の資産だけでなく、負債に関しても慎重に調査しなければなりません。
相続財産の調査の方法 相続財産の調査は以下の手順で行います。
1:相続の対象となる財産としては、以下の資産や負債が挙げられます。
  これらの資産や負債の情報を集め、その結果を整理します。
  @不動産
   土地・家屋などの正確な所番地(地番)とその評価価額
  A預貯金
   金融機関名とそれぞれの預貯金額
  B有価証券
   株券の銘柄・公社債の名称等とそれぞれの口数・価額
  C被相続人自身を受取人とする生命保険金
  D債権
   ・金銭債権(貸付金等)の内容とそれぞれの金額
   ・その他の債権(土地や建物の賃借権・借地権、経済的に価値のある
    会員権等)
  E動産
   経済的に価値のある美術品・骨董品・貴金属等
  F債務
   ・金銭債務(借受金等)の内容とそれぞれの金額
   ・保証債務(他人の借金の保証人になっている場合)の内容と
    それぞれの金額
   ・抵当権(不動産に抵当権が設定されている場合)の内容とそれぞれの金額
  Gその他特別な事情により、経済的価値を有する財産の名称とそれぞれの価額
2:1で収集した情報の結果に基づいて、実際に相続の対象となる財産の有無を
  調査します。
  @不動産については、登記簿謄本や固定資産評価証明書の取得
  A預貯金については、金融機関の取引明細書や残高証明書の取得
  B有価証券については、株主名簿の閲覧や金融機関への照会
  C生命保険については、生命保険会社等への照会
  D債権債務については、金銭消費貸借契約書や賃貸借契約書、
   抵当権設定契約書等の捜索
  E経済的に価値のあると思われる美術品・骨董品・貴金属等については、
   専門家の鑑定
3:2の調査の結果判明した相続財産について、その価額が不明なもの
  については、それぞれの財産の時価額を算定します。
  @不動産については、専門業者等に取引価格を照会
  A有価証券については、金融機関等に取引価格を照会
  B美術品・骨董品・貴金属等については、専門家に鑑定を依頼
4:2と3の調査結果に基づき、相続の対象となる財産の一覧表を作成します。
相続財産の調査に必要な書類 不動産の登記済証書
不動産の登記簿謄本
固定資産評価証明書
不動産の時価額を示した書類
各金融機関の取引明細書・残高証明書
各金融機関の有価証券の保管証
生命保険証書
金銭消費貸借契約書、賃貸借契約書、抵当権設定契約書等
美術品・骨董品・貴金属等の鑑定書
相続財産の調査の注意事項 相続は被相続人の資産だけを受け継ぐのではなく、被相続人に負債が合った場合は、その負債も同時に受け継ぐことになります。相続財産の調査は、相続の対象になるすべての財産を明確にする必要がありまが、遺産分割後のトラブルを未然に防ぐためにも、資産よりもむしろ負債に関して、正確な調査をすることが肝要です。
個々の相続財産の有無を調査をする場合、不動産の登記済証書や預貯金通帳、有価証券の保管証や生命保険証書を発見できれば問題はありませんが、これらの書類が見つからない場合は、被相続人宛の郵便物や領収書、納税通知書、取引明細書などの資料を基に、相続財産の調査を行います。
金融機関に預貯金の取引明細書や残高証明書の交付を申請する場合、申請者が預貯金の名義人(被相続人)の相続人であることを証明する書類(戸籍謄本等)が必要になります。また、各金融機関により対応が異なるため、事前に必要な書類について問い合わせておくことをお勧めいたします。
調査結果の書面化 相続財産の種類とそれぞれの価額を一覧化した財産(遺産)目録を作成し、遺産分割協議の資料とします。
調査に必要な費用 不動産登記簿謄本・抄本の交付:1通につき1,000円
不動産の登記事項証明書の交付:1通につき1,000円
固定資産評価証明書の交付:1通につき300円(名古屋市の場合)
不動産の時価評価額算定に要する費用
金融機関の残高証明書発行:1通につき500円から1,000円程度(金融機関により異なる)
金融機関の取引推移証明書・取引明細表発行:1通につき800円程度から(金融機関により異なる)
美術品・骨董品・貴金属等の鑑定に要する費用
関連事項 家族や親族の財産でも、その資産や負債を完全に把握している方は、案外少ないのが現実です。万一の場合に備えて、日頃から家族の財産(特に負債)に興味を持つことも必要です。また、自分の財産についても、簡単な目録の作成や財産に関する書類をまとめて保管するなどの措置をしておくと、残された家族や親族に余計な負担を掛けることがありません。
以下の財産・物品については、遺産分割の対象外となります。
1:被相続人の遺体・遺骨
2:先祖代々の仏壇・位牌、お墓
3:被相続人の葬儀のときの香典
4:特定の相続人を受取人に指定している被相続人の生命保険金
5:被相続人の死亡退職金
6:遺族年金
遺産分割協議
参照法令 民法 第906条及び第907条等
遺産分割協議の必要性 民法では「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」と定めています。実際には各相続人がそれぞれの主張を出し合い、話し合いによって、すべての相続人が納得できる遺産の分割方法を導き出していきます。
この遺産分割協議がまとまらない場合、相続財産の各相続人への継承手続を進めることはできません。1回の協議で結論が出ない場合は複数回協議を行い、相続人全員が遺産分割案に賛同する必要があります。
遺産分割協議の方法 遺産分割協議は以下の手順で行います。
1:相続人の調査の結果特定した相続人全員に遺産分割協議への
  出席を要請し、協議の開催日を調整する。
2:相続人全員参加で、遺産分割協議を開催する。
3:相続財産の調査の結果判明した、相続の対象となる遺産の目録を
  相続人全員に提示する。
4:各相続人の法定相続分を基に、特別受益分、寄与分(下記の
  関連事項 参照)、各相続人の事情などを考慮して、
  個々の相続人が相続する財産(資産・負債)の種類・価額・割合等を
  話し合う。
5:相続人全員が協議の結論に賛同した場合、その内容を議事録として記録する。
遺産分割協議に必要な書類 相続人の調査の結果作成した相続人とその法定相続分の一覧表
相続人を特定する根拠となった戸籍謄本・除籍謄本
相続財産の調査の結果作成した財産(遺産)目録
相続財産を特定する根拠となった不動産の登記簿謄本、預貯金の残高証明書、有価証券の保管証、債権債務に関する契約書等
遺産分割協議の注意事項 分割協議を行う場合、1人の相続人の主張のすべてが、他の相続人全員から賛同されることは非常に稀です。また、特別受益分のある相続人が、その相続分から特別受益分を減算されることや、寄与分のある相続人が、その相続分に寄与分を加算されることは、法律が規定しています。
協議では自分の主張のみを通そうとせずに、他の相続人の意見も尊重し、相続人全員が納得できる結論を得ようとすることが肝要です。
複数の協議を重ねても、強行に自分の意見のみを主張する相続人がいる場合、それ以上協議を重ねても時間と労力を無駄にするのみで、結論に達する可能性は非常に低いものとなります。
このような事態になった場合は協議を打ち切り、家庭裁判所に調停、または審判の申し立てを行い、調停・審判の結果にしたがって相続手続を進める必要があります。
遺産分割を行う際に、相続人の中に未成年者がいて、その父か母もまた相続人の場合、家庭裁判所に特別代理人選任の申し立てを行い、その代理人を未成年の相続人に付けなければなりません。
協議の議事録の作成 遺産分割協議の結論を議事録として記録し、遺産分割協議書作成の資料とします
関連事項 法定相続分
1:配偶者と子が相続人の場合
  @配偶者=2分の1
  A子=2分の1(子が複数いる場合、それぞれの子の
   相続分は(2分の1)÷人数)
2:配偶者と直系尊属が相続人の場合
  @配偶者=3分の2
  A直系尊属=3分の1(直系尊属が複数いる場合、それぞれの直系尊属の
   相続分は(3分の1)÷人数)
3:配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合
  @配偶者4分の3
  A兄弟姉妹=4分の1(兄弟姉妹が複数いる場合、それぞれの兄弟姉妹の
   相続分は(4分の1)÷人数)
4:配偶者のみが相続人の場合
  ・配偶者=1分の1
5:子のみが相続人の場合
  ・子=1分の1(子が複数いる場合、それぞれの子の
   相続分は(1÷人数))
6:直系尊属のみが相続人の場合
  ・直系尊属=1分の1(直系尊属が複数いる場合、それぞれの直系尊属の
   相続分は(1÷人数))
7:兄弟姉妹のみが相続人の場合
  ・兄弟姉妹=1分の1(兄弟姉妹が複数いる場合、それぞれの兄弟姉妹の
   相続分は(1÷人数))
特別受益者・特別受益分
財産の贈与や生活の援助など、他の相続人が受けていない経済的な利益を被相続人から受けた相続人
特別受益者の相続分は、[被相続人の死亡時の財産]+[被相続人から受けた利益(特別受益分)]=[相続財産]として、[法定相続分]−[被相続人から受けた利益]
寄与者・寄与分
被相続人の事業への助力や被相続人の看護など、被相続人の財産の維持や増加に、他の相続人にはない貢献をした相続人
寄与者の相続分は、[被相続人の死亡時の財産]−[被相続人に与えた利益(寄与分)]=[相続財産]として、[法定相続分]+[被相続人に与えた利益]
相続の放棄
相続の放棄をした場合、遺産分割協議に参加する必要はなくなります。ただし、遺産についての一切の相続権を失うため、相続の放棄は慎重に行なわなければなりません。
なお、相続の放棄は、相続の開始があったことを知った日(被相続人が亡くなったことを知った日)から、3ヶ月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります。
相続の限定承認
被相続人(亡くなった方)の相続財産について、資産よりも負債の方が多い恐れのある場合、相続人は相続の限定承認をして、相続によって得た資産の範囲内でのみ負債の返済をすることを前提として、相続の承認をすることができます。相続人は相続の限定承認の手続の後、被相続人の債権者に対して公告を行い、債権者が請求の申出をして来るのを待つことになります。
なお、相続の限定承認は、相続の開始があったことを知った日(被相続人が亡くなったことを知った日)から、3ヶ月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります。また、相続人が複数人いる場合、相続人全員で申述しなければなりません。
遺産分割協議書作成
遺産分割協議書作成の必要性 遺産分割協議の結果は、協議の議事録に基づいて、最終的に遺産分割協議書にまとめます。この協議書は、各相続人が相続する遺産の内容を明らかにし、その内容を証明する書類になります。また、実際の相続財産の継承は、この遺産分割協議書に基づいて行われます。後日、相続人の誰かから遺産分割について異議が出た場合に備えて、協議の結論を法的な効力を有する正式な書面に記載しておく必要があります。
遺産分割協議書作成の作成方法 遺産分割協議書の作成は以下の手順で行います。
1:各相続人の氏名を列記し、被相続人の氏名を記載する。
2:財産目録と遺産分割協議の議事録を基に、各相続人が相続する財産の内容を具体的に記載する。
3:遺産分割協議書の記載内容を相続人全員が確認し、相続人全員が署名・実印で押印する。
4:財産目録と相続人全員の印鑑登録証明書を添付する。
遺産分割協議書作成に必要な書類 被相続人の財産(遺産)目録
相続人全員の印鑑登録証明書
遺産分割協議書作成の注意事項 各相続人が相続する財産の内容については、後日、相続人間で疑義や異議が生じないように、可能な限り具体的に記載する必要があります。
遺産分割協議書の署名・押印に使用する印鑑は、協議書の法的効力を確実にするために、印鑑登録済みの実印を使用する必要があります。
協議書作成に必要な費用 印鑑登録証明書の交付:1通につき300円(名古屋市の場合)
関連事項 遺産分割協議書に添付した各相続人の印鑑登録証明書は、個々の相続財産を各相続人へ継承する手続(名義変更・預貯金の引き出し等)に使用します。
遺産分割協議書内容を確認し、署名・押印したにもかかわらず、協議書の内容にしたがわない相続人がいる場合、相続人の当事者間の話し合いで解決できないときは、最終的に遺産分割協議書に基づく裁判により解決することになります。
遺産分割に関する諸手続
遺産分割に関する諸手続の必要性 各相続人が相続する財産の内容が決定し、遺産分割協議書を作成した後には、個々の相続財産について、名義の変更・預貯金の引出しと分配等、相続人への分割(継承)の手続をする必要があります。法律上は相続財産について、すでに相続人への所有権の移転は完了していますが、これらの手続を行わないまま放置し、その間に相続人が亡くなった場合、その後の名義変更の手続や預貯金の引出しの手続が煩雑になります。相続した財産の使用や処分を可能にするためにも、速やかに相続財産の分割(継承)手続を行う必要があります。
遺産分割に関する諸手続の方法 相続財産の分割(継承)手続は、以下の財産について、それぞれの方法によって行います。
1:不動産
  相続を原因とする所有権移転登記
2:預貯金
  預貯金の引出しと相続人への分配
3:有価証券
  名義人の書き換え
4:被相続人自身を受取人とする生命保険金
  生命保険金の支払請求と相続人への保険金の分配
5:債権
  債務者への通知
6:動産
  相続人への分配
7:債務
  債権者への通知
遺産分割に関する諸手続に必要な書類 不動産の所有権移転登記
1:所有権移転登記申請書
2:被相続人の出生から死亡までの一貫した戸籍・除籍謄本
3:相続人の出生から現在までの一貫した戸籍・除籍謄本
4:住民票の写し
5:相続人の印鑑登録証明書
6:固定資産評価証明書
7:遺産分割協議書
預貯金
1:各金融機関所定の預貯金払戻請求書
2:遺産分割協議書
3:印鑑登録証明書・戸籍謄本等、各金融機関が指定する添付書類
有価証券
1:各証券会社所定の名義変更申請書
2:遺産分割協議書
3:印鑑登録証明書・戸籍謄本等、各金融機関が指定する添付書類
被相続人自身を受取人とする生命保険金
1:各保険会社所定の死亡保険金請求書
2:保険証券
3:死亡診断書・死亡検案書
4:住民票(被保険者の死亡事実の記載のあるもの)
5:事故を証明する書類(災害死亡の場合)
6:受取人の印鑑登録証明書
7:受取人の戸籍謄本・抄本
8:その他保険会社が指定する添付書類
遺産分割に関する諸手続の注意事項 被相続人名義の預貯金の引出し、有価証券の名義人の書き換え、生命保険金の支払請求については、各金融機関・保険会社等により対応が異なります。手続に当たっては、事前に各金融機関・保険会社への問合せをお勧めします。
債権についての債務者への通知、債務についての債権者への通知は、法的な義務ではありませんが、相続があったことを明示することにより、その後の金銭等の受け払いを円滑に行うことができます。
諸手続に必要な費用 不動産の所有権移転登記の登録免許税:[不動産の価額(固定資産台帳による課税標準)]×0.004
有価証券の名義変更:500円程度から(金融機関により異なる)
関連事項 相続税の申告・納税
遺産分割の有無にかかわらず、相続税の申告は、相続の開始のとき(被相続人が死亡したとき)から10ヶ月以内に行わなければなりません。遺産分割が終了していない場合、一度各相続人の法定相続分に基づいて相続税を申告・納税し、遺産分割の結果として相続分が確定した後に、あらためて相続税の修正申告・更正の請求をして最終的な税額を確定(修正申告分の税額の追加納付・更正の請求分の税額の還付)します。ただし、相続税については、基礎控除額が定められているため、相続財産の価額や相続人の人数により、相続税がかからない場合もあります(むしろ相続税の申告・納付の必要が生じる場合の方が少数です)。
また、配偶者控除の特例や小規模住宅地・小規模事業地の特例等の相続税の軽減措置もあります。ただし、これらの特例を受ける場合、相続の開始のとき(被相続人が死亡したとき)から3年以内に遺産分割が終了している必要があります。
相続税の課税財産の評価時期
相続税を課税する相続財産の評価(価額の算定)時期は、遺産分割のときではなく、相続の開始のとき(被相続人が死亡したとき)になります。したがって、相続財産の中に価額の変動の激しい資産がある場合、遺産分割のときに価額が下がっていても、相続税の課税財産の評価が高くなってしまうことがあります。このような事態を防止するためにも、早期の遺産分割が必要です。